3基目の故障V35Aを分解。メインベアリングの「片減り」が、トヨタの“製造時の破片”説に疑問を突きつける

リコールの火種、V35Aを追い続ける分解検証

トヨタの3.5L V6ツインターボ「V35A」は、現行タンドラやセコイアなどに搭載されているエンジンです。このエンジンの故障をめぐって、海外のある自動車系チャンネルが故障品を1基ずつ分解して原因を探っています。今回はその3基目です。

これまでの流れを振り返っておきます。数週間前に分解したエンジンは、2026年製の交換用エンジンでした。わずかな距離を走っただけで、リコールの原因と同じ形で壊れていたといいます。分解を始めて1週間ほどたったころ、投稿者のもとにトヨタから直接メールが届きました。中身は「あのエンジンが壊れたのはトヨタのせいではない」という説明で、オイルフィルターが緩んでいたか外れていた可能性を挙げていたそうです。

投稿者は続く動画で潤滑系を詳しく調べ、この説に反論しました。さらに鋳造プラグとオイル通路のプラグを抜いて内視鏡を入れたところ、通路の中に加工時のバリや粗い仕上げが見つかりました。本人は「製造品質としてはひどい」と評しています。

今回の個体:2025年9月製の交換用エンジン

今回のエンジンも交換用で、部品に刻まれた日付から2025年9月20日製とみられます。載っていたのは2023年モデルの車両で、交換後に1万2000〜1万5000マイルほど走ったと投稿者は聞いています。ただ、来歴には分からない部分が多いようです。

投稿者が「わくわくする」と言ったのは、このエンジンが手でとても軽く回ったことです。過去の2基は回すのが重く、分解した時点でもう壊れていました。1基はメインベアリングが全部傷んでおり、もう1基は3番が損傷していました。投稿者がずっと探していたのは「壊れかけているが、まだ致命的には壊れていない」個体です。今回はそれに当たる可能性がありました。

外観にも気になる点がありました。ハーネスは切断されていた一方、ホース類は丁寧に外されています。運転席側のターボはなくなっていました。外に置かれて雨にさらされていた形跡もあり、スパークプラグの上部やイグニッションコイルは濡れていました。ただ、プラグの電極は比較的新しく、異常は見られなかったそうです。

上半分で見えてきた「オーバーヒート」の痕跡

冷却系の異常

残っていたターボは新品のようによく回りました。ただ、中から出てきたオイルは少し水っぽく、冷却水が混じっていた形跡がありました。バルブカバーの下はきれいで、オイルも良好です。カムジャーナルには過去の個体と同じような金属の移着が見られましたが、投稿者は特に心配する必要はないと見ています。

問題はタイミングカバーの周りでした。各部に冷却水の残りカスが固まってこびりつき、ウォーターポンプの周りには誰かがシール剤を塗ったような跡もありました。投稿者は「新しいエンジンの冷却系がなぜこうなるのか」と首をかしげています。ほかにも、純正ではない社外品のオイルフィルターが付いていたこと、ダンパーのボルトが緩んでいたことなど、誰かが手を入れたと思われる点がいくつも見つかりました。

ヘッドガスケットの破れとヘッドの歪み

シリンダーヘッドのボルトは締まり具合がばらばらで、作業中にソケットを1本割ってしまったほどでした。ヘッドを外すとヘッドガスケットに破れがあり、冷却水路には燃焼ガスが回り込んだ跡や、ピンク色のスケールが見つかりました。

ストレートエッジとシックネスゲージで測ると、片側のヘッドは約0.020インチ(約0.5mm)、もう片側は約0.016インチ歪んでいました。投稿者は「許容値は知らないが、確実に超えている」と話しています。一方、ブロック側の面に大きな問題はありませんでした。錆びたシリンダーが1本あったほか、真空ポンプの端が衝撃で折れたように欠けていたことも記録されています。

こうした状態から、投稿者はこのエンジンが強い熱にさらされたことは明らかだと結論づけています。原因の候補として挙げたのは、組み立てミス、冷却水の入れ不足、何かにぶつけたまま走り続けた、事故のあとに誰かがエンジンをかけた、といったものです。壊れたファンの部品も見つかっているので事故車だった可能性はあるものの、どれが正しいかは分からないとしています。

核心:滑らかに回るのに、ベアリングは片側だけ減っていた

ピストンとコンロッドを外してクランクを回すと、投稿者がこれまで分解したどのエンジンよりも滑らかだったそうです。この時点では、メインベアリングは無事だろうと考えていました。

ところがメインキャップを外すと、ベアリングの摩耗が片側に偏っていました。特に後方寄りのベアリングと3番・4番で目立ち、片側だけ表面のコーティング層がすり減っている箇所もありました。破片によるとみられる引っかき傷もありましたが、投稿者は「破片の傷と、この片減りは別物だ」と強調します。コンロッドベアリングも、上側のシェルが片側だけ大きく摩耗していました。

一方で、クランクシャフト自体は深刻な状態ではありませんでした。投稿者が求めていた「致命的に壊れる前の段階」の個体を、ほぼ狙いどおりに手に入れられたことになります。本人は「とても運が良かった」と話しています。ヘッドの歪みのような大きな問題があっても、ベアリングが無傷で出てくることは珍しくないからです。

オイル通路は2026年製よりずっときれい

最後に、ブロックのプラグを抜いて内視鏡でオイル通路を調べました。ドリル穴の粗い部分はあったものの、切り粉や金属片の付着はなく、2026年製の個体よりはるかにきれいだったといいます。オイルフィルターのひだにも金属片は見当たらず、オイルパンの底にも薄い堆積があるだけでした。

投稿者は、このエンジンの製造品質、特に清浄度は2026年製よりかなり良いと評価しています。そのうえで、「2026年製があの状態だったのに、どうやって全工程の検査を通ったのか」という疑問も口にしています。

投稿者の見立て:「破片だけでは説明がつかない」

トヨタは、故障の原因を製造工程で取り除かれずに残った破片だと説明しているとされます。しかし投稿者によれば、2026年製と2025年製の2基にはベアリングが片側だけ不均一に摩耗しているという共通点があり、その一方で今回の個体には破片がほとんどありませんでした。

投稿者の考えでは、オイルの中を金属片が回っていれば通った場所に傷はつきます。ただ、その傷は局所的なもので、片側だけがそろって減るような摩耗にはならない、というのが主張です。つまり、破片が傷を増やすことはあっても、根本原因とは考えにくいという立場です。

「オーバーヒートでオイルが傷んだせいでは」という反論も予想しています。投稿者は、過熱したエンジンを数多く分解してきた経験から、熱が原因ならエンジン全体に一様なダメージが出るはずで、ベアリングの片側だけが減ることはないと答えています。

次の検証へ:専門家に部品とオイルを託す

今後は、このエンジンのベアリング一式とオイルのサンプルを、“Motor Oil Geek”として知られる友人のレイク・スピードJr.氏に送る予定です。手順は2人で決めており、可能性を一つずつ体系的に消していくといいます。投稿者は「ハンマーで叩くような“科学的テスト”をする自分のチャンネルとは違い、能力と経験のある人に任せる」と冗談まじりに話しています。最終的に答えが一つに絞れるのか、検証しきれない仮説が二つ残るのかは、まだ分からないとのことです。

ほかにも、完全に止まってしまったV35Aが2基あるという連絡を受けているほか、レクサス版のV35Aも探しているそうです。このエンジンをめぐる検証は、まだ続きます。

参考動画